税務コラム

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「つぼみ」と「満開」(長岡支部 髙野会員)

つぼみ  満開
掲載の写真は3月末、新潟の税理士会館で写した桜と、翌日、日税連のある東京大崎で写した桜の写真だ。
東京は満開、新潟はまだつぼみ、日本は広い。

昔から不思議に思っていた。いろいろな本には4月の入学式に桜が満開でハラハラと散っている挿絵が描かれている。しかし、新潟では入学式で桜など咲いてもいない。それなのになんで入学式に桜が満開なのかと気になっていた。

本来、地域の行事や風俗風習は、自然環境に応じて実施され、その結果、考え方や価値観など地域ごとに違っていた。これはあたりまえのことだ。人の気持ちに係わることは地域差が大きく現れてくる。反面、経済活動に関することには地域差が極力排除される。
経済活動は広域に共通の基準で形式基準に基づく活動が求められる。そうでないとビジネスの活性化が損なわれてしまうからである。

税法は税金という金銭に係わる法律である。しかし、その税法の中にも大きく二つに分けて考えることができる。
一つは経済活動に基づく所得や収入にかんするもの、もう一つは個人の生活や地域活動、風習などが影響する人の気持ちが大きく係わるもの。
前者は所得税などに代表され、後者は相続税に代表される。もちろん、所得税の中にも交際費などの取り扱いについて地域の風俗習慣によって違いが見られることがある。
ただ、ここで困ったことに税法は日本国の法律であるから、日本国民にとって公平中立でなければならない。
日本国民ということはまだ桜の咲いていない地域でも、すでに満開となっている地域でも、一律同じ取り扱いでなければ公平中立は守られない。
地域で取り扱いが違うとなると不平等の問題が発生する。ここが税法の適用にあたって苦しむ原因の一つとなる。

地域の実情を知る地元税理士としてはなんとか認めることができないかと考えるが、税法の条文だけを単純に読んでいると難しい。
しかし、過去の判例や法の趣旨、現実の状況から考えるならばこのように解釈することが「法の正義」に合致すると判断することができる。
世の中にはいろいろな状況がある。それらの状況の中で何が納得できることなのか「知恵」をだすことが求められる。そんな知恵をだすことが、今税理士に求められているのではないかと私は桜を見ながら考えている。
(2013年3月29日記)

                       長岡支部 税理士 髙野 裕  HP http://tmc.nagaoka.niigata.jp/

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